リテラシーを語らずしてセカンドライフは存在しない… 生涯設計研究所 座談会4人の策士が求めた生涯設計とは。生涯設計研究所の目指すリテラシーとは何か。セカンドライフへのフェアウェイを確実に進んでいくための熱い熱意を語る・・・。 江里口 今日はお集まりいただき、ありがとうございます。我々4人が発起人となって設立した生涯設計研究所(ライフデザインラボ)がいよいよ始動します。山崎さんと上坂さんを核に面白いメンバーが集まってきました。今日は生涯設計研究所の目指すところなど、大いに議論したいと思います。社長として山崎さんが前面にでていますが、仕掛け人は実は上坂さんでは? 上坂 山崎さんとはダイヤモンド社時代、95年に山崎さんの初めての本『不滅の土地活用』の編集を担当して以来、著者と編集者としてのお付き合いです。ひょんなことから、住宅ローンの本を出そうということになって、今年7月に『住宅ローンを借りる前に読む本』をファーストプレスから出版。その本をつくる中から 生涯設計 という発想が生まれました。そもそも住宅というのは生涯設計の中の一つのイベントにすぎないわけで、住宅ではなく 生涯設計 にフォーカスしてみると、お金の運用だったり、保険だったり、相続、葬儀、自分が死ぬところまで含めて広がりをもってくる。 相続 をキーワードにしてみると、これから相続に直面するであろう、団塊の世代と団塊ジュニア世代という巨大なマーケットが見えてくる。これはもう山崎さんと私、二人では手に負える仕事ではないなと。関連分野の策士を集めて、悩める人、まだ悩みに気づいていない人たちにも、生涯設計にまつわるあらゆることを提案し、お手伝いしようと思ったことが仕掛けの始まり。 江里口 我々4人の策士、それぞれが各分野のスペシャリストとして来ているわけですね。 楠目 生涯設計、不動産を含めてセカンドライフ云々というのは一種のリテラシーだと思うんです。当然、生涯設計にはすべて数字がつきまとうので、広い意味でのお金のリテラシーです。もともと日本人はお金に関してリテラシーがなくて、特にサラリーマンは自分の頭の中に財務三表がない。ところが、実際はその中で生きているんです。彼らにうまい気づきを与えられるような一つのパワーになりたいですね。気づきを与えるためのツールづくりは我々の商売、専門分野ですから。 上坂 私も楠目さんも出版という紙媒体の業界ですが、楠目さんは紙だけじゃなくてITもやっています。今回、このコンセプトは紙だけじゃないよねと山崎さんと話していて、ITに強い人を巻き込もうと声をかけました。 江里口 紙からネットへのチェンジですね。 山崎 世の中はどんどんIT化しています。いま紙媒体の会社はどこも苦しんでいる中で、紙だけではなくて、配信したり、DVDがあったり、メディアとして考えようということ。いうなれば私は歩くコンテンツですよ。 上坂 それに紙媒体だと最低でも1万部を目標としないといけない。1万人の読者をとってこなくてはいけない。でも、DVDなら500人でいい。もっと一つのコンテンツを深掘りしていこうというチェンジもありますね。 山崎 コンテンツが細分化されてきている。もうマスで売る時代ではなくて、極論すれば100部が100パターンみたいな時代ですよ。 上坂 十人十色ではなくて、一人十色。それにはデジタルはすごくいいツールです。 山崎 もう一つ大事なポイントは、デジタルなら自分のメディアを持てること。私自身は独立系としてやっているけど、かといって全然業界と付き合わないわけにはいかない。業界大手の企業におもねっていないとマス媒体に登場できないわけです。それでは正しい情報、つまりエンドユーザーが得をする情報が伝えられない。正しい情報を発信することが自分のアイデンティティ、プレゼンスなのだから、ここで負けたら存在意義がなくなってしまう。その点、自分のメディアが持てればこれからは自由に言いたいことが言えますよ。 江里口 メディア論になってきましたね。 楠目 メディアにはいっさい色のついていないものはありません。出版社も雑誌を出していれば広告という色がつく。そうすると、純粋に無色透明なのは、ウェブとモバイルとDVDくらい。少なくとも生涯設計研究所は、我々がやりたいことを、やりたいようにできるメディアを持っているといえるでしょうね。 山崎 それぞれの分野でキャリアのあるこのメンバーが本気になれば、すごい力になりそうですよ。我々はちっちゃな零戦みたいな飛行機なんだけど、B29の落とし方を知っている。もともと業界大手にいてその弱点も知っている。元B29のパイロットが零戦に乗っているわけです。撃墜の仕方を知っている。今回この意義は大きいと思います。怖いものはないですよ。 上坂 まあB29に乗っていたから暴れていた面もあるんですけどね。多くの国民はメディアを信じきっている。新聞に書いていることを誰も疑っていない。なにか気づきを与えないといけないのだけど、そういう人たちにどうやってコンタクトをとっていくか。どうやって攻めていくか。軸がぶれないものを提供していれば、必ず広がっていくはず。雑誌や書籍は大量の情報の中で埋もれていくけれど、ITは残っていきますからね。それがITのいいところです。 山崎 生涯設計、生き方に対する気づきを与えるという点では、一番近い位置にいるのはFPだと思います。ただ、今のところ肝心のFPがまだ気づいていない状態。生涯設計という問題になったとき、FPを育てていかなくてはいけないですね。でないと1億人が路頭に迷ってしまう。FPは顧客に株だの投資信託だのばかりを教えているけど、生涯設計でいちばん大事なのは誰にでも必ずあること。相続と不動産、あと生命保険かな。これは絶対に知らなくてはいけない。 江里口 持ち家比率も高いし住宅は必ずみんな考えること。マイホームも不動産投資ですからね。不動産、相続、保険この3つの分野すべての実務が出来る人が15万人のうちどれくらいいるか。 山崎 FP業界も変えていかなければいけない。我々が本当に必要な仕組みをつくって見せてあげよう。ここでFPスクールである江里口さんの登場になるわけね。 楠目 いま保険と不動産と相続、三つ出ました。生涯設計のテーマにはもう一つ、セカンドライフがありますね。 山崎 年齢的にいうと、江里口さんがいちばん先にセカンドライフに入るわけだから、ちょっと人体実験してブログにでもしたら。 楠目 江里口さんのブログのタイトルを見ると、『20代でセカンドライフを経験した…』ってありましたね。 江里口 まさに20代はセカンドライフでしたよ。インドから帰ってきて、軽井沢1年、御殿場2年、東京で33歳で社会復帰ですから。セカンドライフを先に経験してみて、得たものもいくつかありました。 楠目 先にセカンドライフを垣間見る、面白いな。いいヒントですよ。ゴルフが上手い人と下手な人の大きな違いはどっちから見るか。ティーグラウンドから打っていこうというのはだいたいアマチュア。上手い人はカップから逆算していく。セカンドライフといっても若い人にとっては先の話。でも実はセカンドライフの年齢になったときにセカンドライフを考えても、いろんな準備が出来ていなかったりして。 楠目 昔、『逆・日本史』という本が結構売れたんですよ。これが起こるためにはこれがあったからだと、逆にたどっていくという本。同じように、こういうセカンドライフを送るためには、保険にしても不動産にしても相続にしてもこうやっていくのだと逆算していく。 山崎 それは大事だね。ちょっと大きな話をすると、いまの日本の閉塞状況は、まさに逆算できなくなったことが引き金になったともいえます。明治維新みたいな日本を良くしようという志は希薄になって、みんな自分が生き残ろうとするだけで精一杯。住宅ローンが返せないと心配しながらハイテクの開発なんてできないですよ。生活が安定していないと仕事にも没頭できないし、それがひいては国際競争力にもつながる。衣食足りて礼節を知るというけれど、衣食が足りて先端技術が開発されるというのも真実ではないかな。次の時代に耐えうる社会全体の価値観とか、個人の人生における価値観とか、それがどうあるべきか気づくところから、生き方の道筋が見えてくるのではないかという気がします。 楠目 セカンドライフという分け方そのものも変といえば変ですね。 山崎 そう、本当は続いてるものだから。 楠目 一本線のコンテがない生き方になっちゃったんでしょうね。 上坂 多くの人にとって、セカンドライフはまだ漠然としたものでしょう。ファーストライフの部分では、生命保険、不動産、相続という言葉は誰もが知っていて、そこら中にある情報も知っているんだけど、そこら中にある情報はゆがめられた情報ばかり。誰かのための、誰かにとっていい情報であって、国民にとっていい情報ではないんです。でもそのことを知らない。 山崎 さっきのゴルフの話でいうと、ろくでもない人たちがフェアウェイはこっちだよっていうわけですよ。本当は違うのに。その最初の一打を間違える。たとえば、いきなり住宅ローンを組んで5000万のマイホームを買っちゃう。不動産は額が大きいから、一発目ティーショットをしくじったらアウト。 江里口 みんな最初からOB。崖に転がっていってもう絶対に回復できない。何回打ってもあがれない。バブル前後で買った人たちはみんなOBですよ。 山崎 失敗したと思うなら、せめて勉強してほしいね。 上坂 みんな知りたくないんですよ。もう5000万のマンションを買っちゃってるんだから。いきなりOB打っちゃった人はどうすればいいんだって。本当はOBを打った人が復活戦ができるまでの情報を出したいですね。 山崎 連続性という考え方でいくと、セカンドライフという表現より、まさに人生のフェアウェイなんでしょうね。我々がフェアウェイはここなんだよと正しい方向を示してあげる。 上坂 グーグルじゃないけどちゃんと上から鳥瞰して見せてあげるようなツールが必要なんですよ。今はだんだんそれが見えるようになってきた。 山崎 インターネットが、ウェブというものがそれを可能にしてくれる。今までは媒体がなかったからね。 上坂 だからみんな新聞や業界の情報を信じていたんですよ。 山崎 福沢諭吉じゃないけど、やっぱり新たに 学問のすすめ なんでしょうね。究極的にはみんながきっちり学ぶと、政治家の嘘も官僚の嘘も見抜くことができて、保険会社や不動産屋の嘘も見破ることができる。近代化のときの『学問のスゝメ』が福沢諭吉であれば、IT社会になったときの学問のすすめみたいなものが求められているのかもしれない。 上坂 面白いことに、いま大学生がウィキペディアを信じきっているらしいじゃないですか。インターネットもまた正しいと思っているわけですよ。新聞が正しいと思っていて、テレビが正しいと思っていて、今度はインターネットもまた正しいと。 江里口 あんなのみんな勝手に書き込んでいるだけなのにね。知らないんだね。 山崎 いまは正しい情報も間違った情報もあふれかえっている。ウィキペディアもそうだけど、どれが正しいか選ぶ能力が必要なのでしょうね。鑑識眼を身に付けないといけない。 楠目 選ぶにはそれなりの基準が要ります。ゴルフでいうと、この18番ホールはパーでいい、俺の人生パーでいいと思えば、そこから逆算していける。バーディーをとりたいのなら、そこから逆算すればいい。いま、その基準がないんです。マンションを買うというと、与えられた情報をそのまますーっと信用する。価値があるのかないのかという判断基準が存在しない。なんのために買うんだという基準があれば、考えられるけど、それがないのだから判断なんてできませんよ。ここで生涯設計研究所が基準をつくための情報を与えられると、面白い会社になるかなという感じがしますね。 山崎 まず疑うことからスタートするのでしょうね。 上坂 自分で考えるんですよ。だけど今までは手段、ツールがなかった。大手やマスコミにゆがめられた情報しかなかった。それを提供するのが我々の役目だと思います。自分がどういう生き方をしたいかという判断基準をつくるための情報。ゴールのセカンドライフを決めて、それを自分の基準とする。そうすれば逆算して、いま30歳のときにどういう資産運用をしようか、このマンションは買うべきかと判断できるはず。セカンドライフまで含めた生涯を通じて生き方の軸となるものが必要です。まず、それを自分でつくることでしょう。 江里口 専門特化型メディアカンパニーである生涯設計研究所のミッションは、個人がハッピー・リッチに生きるための価値ある情報を提供すること。多くの人がセカンドライフへのフェアウェイを確実に進んでいけるよう、正しい情報を発信し、役に立つ道具を用意してあげたいですね。我々は零戦ですが、4人のパワー全開でB29に挑んでいきましょう。これからが楽しみですね。 |
上坂伸一 うえさか しんいち |
500万人のマーケットの中でカラーユニバーサルデザインはすでにはじまっている
1955年、徳島県生まれ。早稲田大学在学中にITの開く未来に目覚め中退。アップル販売会社やIT 系ベンチャー企業の役員を経て、1998年より色覚バリアフリー活動を開始。
2004年、特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構の設立に参画し、副理事長に。2007年、東商カラーコーディネーター1級取得。自身もP型強度の色弱者。 |
伊賀公一さん
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インタビュアー 田川えり子フリーライター・リポーター・インタビュアー 大学卒業後、メーカー勤務を経て、1987年ブラックマンデーのその日からFP会社の事務に従事し始めたことが縁でFP業界の世界に入る。 現在はFP会社での経験を活かし、フリーランスの立場でFPセミナーの企画やセミナーリポート、インタビューなどに携わっている。マネーとキャリアという視点と、人と人との関りを大切にする心をベースに、役立つ情報を提供していきたいと考えている。AFP・キャリアディベロップメントアドバイザー。 |
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