Appoggio vol.6 2007年2月発行
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「どの税理士を選ぶかで相続税が大きく変わる」
税理士・不動産鑑定士 森田義男さんに聞く
2007年の第1弾は税理士で不動産鑑定士の森田義男さんにご登場いただいた。森田氏は昨年10月に「取り返せ!相続税〜不動産相続のプロが明かす土地評価の実態と節税対策〜」(すばる舎:1,500円)を発行。著作は翌月にインターネットサイトのアマゾンで1位にランクインするなど注目を集めている。書籍発行の狙いは何だったのか。その本音に迫った。 |
―― 「取り返せ!相続税」を拝読しました。まず執筆のきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
森田 ご承知のとおり、相続財産は「金融資産」と「不動産」とに分かれます。一般の税理士は「金融資産」の方でがっちり仕事をします。法人税や所得税などもろもろの税金を取り扱う訳です。ここに誤りはほとんどないでしょう。
しかし、先ほども申し上げたとおり、税理士は不動産に関しては素人です。不動産、なかでも土地の評価となると、評価規定を知らなかったりする場合があります。
そうなると、評価額が高くなり、結果的に多くの税金を支払ってしまうことにつながるわけです。これはあくまでも私の感覚ですが、多くの土地を持つ地主の場合、大半が払い過ぎてしまっているのではないでしょうか。
―― 払いすぎ、とは何だかもったいない気がしますね。
森田 私が「嘆願」というものを耳にしたのが今から7〜8年前です。おそらく、もっと以前からこの取り組みはあったと思います。
そして、私自身が実際に「嘆願」をしてみたのが5〜6年前になります。当時は、一度納めた税金がよもや戻ることはないと思っていました。しかし、実際には数百万円といった単位で戻ってきました。びっくりしましたね。それから1、2年たって、もう一件「嘆願」しました。やはりまとまった金額が戻ってきました。「嘆願」すると税金は戻るものなんだと実感しました。
―― 「嘆願」した場合、要求どおりの金額が返ってくるものなのでしょうか。
森田 「嘆願」を受け付けない税務署はほとんどありませんが、当初の要求どおりには行かないケースが多いのも事実です。税務署側は金額を削ってくるのが普通です。
考え方や解釈といった点でグレー部分というのがどうしても出てくる訳ですが、税務署側はグレー部分を受け付けないのが基本です。「嘆願」する側としては、例えば真っ白に近いグレーである場合、さまざまな説明文や資料を添付して、「白」である根拠を示します。でも、税務署側でダメだと言われれば、争うことはできません。
(・・・続きは本誌アポジオvol.6で)
「都市再生の時代が始まる」
江里口吉雄・本誌編集長
2007年が始まりました。2007年問題としての団塊世代の動きが気にもなるところですが、その団塊世代の一部をマーケットにした都心のマンション建築の嵐はとどまるとことがないようです。
新年早々、筆者は仕事初めとなったのですが、今まで何気なく眺めていた都心の夜景が一段と賑やかになってきていることに気がつきました。冬の東の空に赤く上がる太陽とともに天空にそびえる高層のビル群はいつの間にかまるで竹の子のように乱立してきています。
東京の空に不気味に舞う工事用のクレーンの数はざっと数えただけでも20本以上を目視できます。巷の噂では、今年竣工する都心の100メートルを超える高層ビルは、なんと30棟以上のようです。昨年、表参道に登場した黒川紀章氏のデザインによる表参道ヒルズは環境に順応した低層ビルの建築でしたが、今都心に次々と登場する高層のビル郡の成長の早さに目を見張るばかりです。特に、丸の内・赤坂再開発・東京ミッドタウン・芝浦アイランド等の一等地で次々と建築されていく高層ビルは、オフィスにとどまらずホテルや賃貸マンションそしてショップと複合的なビルとして生まれようとしています。
“都市の再開発で職人は減少している!?”
都市再開発でまさに東京が生まれ変わろうとしています。バブル崩壊からいつの間にか格差社会の到来となり、社会的かつ経済的に問題が山積するなかの都市機能として、また建築的美観としても都心の土地利用が確実に変化していることは確かです。六本木ヒルズの隣に出来上がった東京ミッドタウンの巨大な超高層ビルは東京の空を占領するかのごとくです。この竹の子の如く天空に伸びていくビル群は、新しい日本の姿なのかもしれません。
ビル専門の中堅ゼネコンの方に話を聞くと、確かに今職人不足の真っ只中のようです。特に左官やクロス職人は不足でどの現場も工期を守っていくのが大変なようです。そのシワ寄せは、小さな工務店ではもっと深刻だとか。基礎工事に着手できずに地鎮祭をやってから半年も現場が放置されてしまったところもでてきているとも聞きました。
工事現場で職人が足りないという悲鳴は、実はバブル期には常識であったのですが、最近ではたいへん珍しい現象です。ただ、現場から話を聞くとすべての職人が不足ということでもないようです。住宅メーカーの営業担当者からの話では、ゼネコンのビル建築現場での職人不足の話は「職人不足?どこの国の話ですか?」といわんばかりのようです。同じ建築を扱う業界でも住宅会社とゼネコン業界では当然違ってくるのは当たり前ですが…。
“いまだに残っている違反建築の爪あと”
“融資のおりない中古住宅と、相続に値しないアパート”
“コンバージョン、SOHOで都市が生まれ変わっている”
(・・・続きは本誌アポジオvol.6で)